第16話 

  *   *    閑話休題 思い出?   *   *


 そこは稀で無く自己の我が儘から、動いてしまう事なんてざらに在る物だ。ましては高校生だから、常に無意識の行動が主だと言えるだろう。その中で起こしてしまった行動は他から見られたら突飛ではあっても、本人にして見ればそこそこ考えての末だった。その結果が予期せぬ事だったとしても・・。

それは友達が居ない・・作らないから友達付き合いが悪い奴とは認定出来ないが、周りの人との繋がりが希薄な奴であるとは断言出来よう。そんな奴でも変わり者では無いから言葉は・・会話には問題はない。


京子「ねえ、何を見てるの?」

祐介「・・ああ悪い。ちょっと見とれていたって言うか、おまえを見てると癒されるなーって思ってな。ほんと悪い」

京子「はあ?呆れるほど恥ずかしい事を、その平気な顔で言わないでよ・・ほんとに癒され得なら、集まり過ぎて溢れた時には何かで返してね。」


そんな冗談みたいな会話が、高校2年のゴールデンウイークを過ぎた少し後に合ったのだ。だがそんな冗談のお返しが、早くも6月の半ば前に返す事になった。

それは返したつもりでも無かったが、相手の意図に関わらずに報いたと思いたい。高1の1年間と高2の今頃までに、その周りの生徒達と関わらず干渉もされなかった彼女の理由は知らない、それは互いが干渉する先の未来でも語られてはいないしな。だから知らないけど悟りはする、その事があとの未来に遅かったと後悔する事も無かったが。それは知らないけど後悔しない行動がオレは出来たからだ。


京子「な、何んなのよ?」

山井田「いいから、お前は解っているんだろ京子 !・・ちょっと一緒に」

京子「勝手に呼び捨てとかしないで!私は貴方に今も・・この先にも用事は無いわ!」

山井田「いいからって行ってはなし」

祐介「・・いい加減にしろよ見っともねえ。頭も耳も悪いのか?お前みたいな自己中満載がいられるような学校じゃねえんだよ。学校なめんな ! 」

京子「・・ちょっと祐介! 学校に擦り付けた助け方に、ロマンス感がまったく無いわね。山井田・・今度何か言ってくる時は、祐介を最初に倒す事ね」

祐介「簡単には倒れないけどな・・って、ちょっと ! そいつに呼び捨てどうこう言ってたお前が、オレを呼び捨てすんな」

京子「なっ?何言ってんのよ ! わたしをエロ目で見ている祐介は、祐介で十分でしょ?これからは金輪際呼び捨てでいくわ」


ほんとエロ介でなくて良かったよ。あの前まではまともに呼ばれてたのにな・・。


  *   *  閑話休題 思い出?終り    *


そんな過去を振り切った放課後・・ここで振り切る事は良くはないが、それとは関係なく今日は成敬北上々峰高等学校の生徒、その有馬美佳の出勤日である。となると本日の活動は合同会議、生徒会からも財前副会長が参加になっています。

参加と言うと聞こえは良いけど諸事情が複雑化して、財前副会長をイベントの日までレンタルさせて貰ったのです。「何故私なんだ・・」モクモクと言っていたのは無視した今となっています。

そんな特殊空間に突然一人の男子が「こんにちはー」と現れた。そいつはこの祐介の親友の・・誠だ。今日はたまたま部活が休みになったので、祐介の年末の予定を聞こうと思って来たのだが、ついに部活を始めた祐介の現状はボランティア部の手伝いで毎日慌ただしく、そんな日々に追われているから課外クの部室は混み込み状態だ。

一瞬まったく気づかなかったが祐介だけでなくもう一人り男子はいる、それでも他7人が女子とそこに有名人の川崎さんに、何故か財前副会長?までいる。お久ーとか適当な挨拶を祐介が投げ、ここは一応紹介しとくかに成った。


祐介「はい、右端から行くけど成敬北上々峰高等学校1年生の、有馬美佳さん・・うちの学校で、オレのクラスメイトの川崎京子さん・・オレの左が成敬北上々峰高等学校1年生の南城加奈さんでオレカノね・・上座にならんだ財前副会長は知ってるよな。その隣はボランティア部の3人さんで手前から・・」

誠「今さらっと紹介中で、オレカノがムカついたけど・・オレの部活が休みに成ったから来ちゃったけど、今年も残り少ないので休みの予定をだな・・去年の年末に行ったフェスは、今年はどうする?」

祐介「あー行ったねぇーフェス!初めてと物珍しさで行ったけどもう一度の手答えは無かったし、イモウト・・フェス限定マスコットも、お得感が無かったんだよね。結局今年は行かないって感じかな。」

京子「妹か?妹が喜んでくれなかったのは、祐介のお土産チョイスのせいでしょ?コスプレといい、遣り放題なんだから。」


コスに反応した誠にミニスカサンタの妹仕様を見せて、キモい思いだし笑いをしている祐介を放置した美佳は、それより目の前のお菓子に飛びついた。


美佳「これ・・これは、結構高価なお菓子じゃないですか。気軽に手が出せる価格じゃないですよ。」

財前副会長「わ、私も知っているぞ。これは自前では中々勇気のいる食べもだぞ。」

祐介「ほほ~う、中々みんなお目が高いな。それに気がついてくれたのが、ちょっと嬉しかったりする。だが気にせず正味してくだされ!遠慮は無用じゃ」

京子「訳わかんないキャラになってるわよ。・・どれ、うふぅ~ぅ美味しい。ん?何かお得な事でもあったの?」


その一言で祐介は、そんな胡散臭い視線をみんなから浴びる事になった。


祐介「もう2度と訪れないと思う運は、けっこう前に来たけど・・最近は無いよ。ほらボランティア部との合同ミッションも、特別に財前副会長まで煩わせている状況だろ?通年課外クのオヤツタイムはナッシングを一時停止し、日本人自慢のおモテナシを提供しています。出すからにはお口に合いそうな物になるから、そこはケチりません。」

財前副会長「モテナシを受けていて言うのもなんだが、予算が枯渇しそうな良い物を食べさせて貰っても、追加の予算は出せないぞ。」

祐介「あーそれは大丈夫!こちらのお茶請けは差し入れだから、部費は手つかずになっているよ。」

京子「・・差し入れなの?・・誰からの?」

祐介「う~んそうね、京子には言って置いたほうがいいな。それは京子のファンと言うか信者みたいな人達だな。」

京子「・・何かとっても胡散臭いわね。で、取引条件か何かがそこであるんでしょ?対価交換とかの」

祐介「はい、中々察しが良いです。ちょい前のお昼休みに、それのプレゼンしたじゃん。それが親衛隊チームに25日のイベントで、美味しい京子手作りクッキーを上げるからって奴。あの情報に便乗しちゃった人達だよ。」

京子「うそ・・私はほとんど作りの予定に入ってないし、追加を作る人の身にもならないと」

加奈「・・フフフ、フフ。大丈夫です。」

祐介「そのクッキーを何回かに試作で焼く予定に成っているから、そこを少し多めに焼いて貰う事に成っているんだよ。」

美佳「それでですね?使う予定の数量が、打ち合わせの時より多目の配送になっていたのは。ちょっとだけの余分だったから、気には留めずにいたのです。」

祐介「殆ど貰らい物なのにそれを売り払ったとなると気持ちも良くないから、我が校のマドンナ京子の手作りクッキーをただで貰えるなど世の中は甘くないって言ってやったのさ。寄付にしても変だし労力に対しての差し入れってことで。」

加奈「ええ・・フフフ。課外クの部費となれば家計費と変わらないと思いまして、それなら遣り繰りは私の役目なのではと、そこで京子姉さまの名声を少しお借りしました・・フフ。」

京子「か・・加奈ちゃんから黒い物が・・もしかして共犯ではなく主犯なのでは・・」

美佳「ですね。黒加奈は善悪が希薄になりますからね。それが坂上先輩の事になったら、全部が善かも知れません。」

財前副会長「・・追加がこなければ、そこが真っ黒黒でも構わんな。う~ん美味しい!」

祐介「驚け!さらに後味を良くする、この新発売飲料だ。いってみるかい?」

財前副会長「・・頂こう。」


祐介の言葉に「それは本当か?」となって、彼女達は飲み物に群がった。忘れ物的な誠は只今呆然中・・

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