第7話 

このうるさ男子と別れその後の2人の帰路は、別段いつもと変わりなく静かな満足感を包んで歩んだ(そこで彼女を抱きしめてはいないけどな)それなりの時間経過を早いなーと感じつつ、彼女の家の前につくとその家の中から母親が顔を出し、これはナイスとばかりに祐介に話し掛けて来た。


加奈母「こんにちは!娘がお世話を掛けますね。最近この子の表情が明るくなったのを不詳な父親も喜んでいまして、お礼ついでにご挨拶をしときなさいって言われているの」


初めまして、お姉さんと間違えました・・お姉さんですか?って聞かないと間違えた事にならない・・これは失敗しそうで却下だな。何かのお世辞を言おうか迷いつつ、だが素直に挨拶を交わした。


祐介「表情が暗かったんですか加奈さん?あった時から元気いっぱいで、明るいイメージしか知らないですよ。いつでも僕を照らす太陽だと・・調整は最強にしないと性能は発揮しませんから・・それに他への無駄使いとかもダメです。出来れば全力で僕のほうに・・」

加奈「ぐわっ!ここでも本当に全力だ、見境なしだよこの人」


さすがにここでは戸惑ってる加奈ちゃんを、この場は野放しのまま放置しておく。


祐介「とにかく頑張ります。以前に何があったのかは知りませんが、ここから先は2人で大事に踏み出し、振り返れる思い出を作りたいです。そしてそれが良かったと加奈ちゃんに思って貰えるように。そこで2人が何を大切にしないといけないのかも、見誤らないよう頑張ります。だから、これで大丈夫とは言い切れませんが、ずっと頑張りが必要と思ってます。ああ・・すいません!ちょっと緊張し過ぎちゃって、ほんとに重くなっちゃったです。ここで加奈ちゃんもフォローに回って!この状況はもう完全に結婚の申し込みになっているから、ここで愛が重いよって言われても落とせないからね。ベストは・・ほんとにお母さんと結婚するの?かな」

加奈「うわー思わず、不束ですか宜しくって言いそうでした。でもお色直しは3回したいです。」

祐介「それ、フォローになってねぇ!3回目って何着るの?話を引っ張らないで・・この人イタイってバレちゃうから」

加奈母「えっと・・そろそろいいかしら?お母さんのターンにしたいけど」

祐介「もう少しだけ、もう少しいいですか?」


ここで加奈ちゃんもしっかりオレに注目です。


祐介「今のオレの中には、加奈さんが溢れています。大きさなら誰にも負けないと思っています・・それは中身のない、中身と呼べないかも知れません。まだまだ全然集まってませんから」


おおっと加奈ちゃんがとっても不安そうだ。早く誰か助けて・・


祐介「今の思いはまだ名前さえもない、付けれずにただ広がっているだけ・・2人は出会って間もないのですから、互いの理解や回りへの配慮などこれから先に知らなければいけない事が、たくさんあるくらいが解っているだけです。この場を取り繕うために見聞きした上っ面な言葉を並べ誤魔化すくらいなら、何も知らない情けない奴が自分ですと知って貰った方がよっぽどましです・・から。でも・・い、いつかここで・・この場所で、2人のこれから始まる何かを伝えられる人になって立ちたいんです。この場所ってのは報告の場ですが、そのいつかが・・そんなに遠くない未来でそんな自分が一番信じられる所は、自分を信じて頑張れる所なので・・自分が自分を信じなければ、誰も信じてはくれないですし・・だから頑張ります!」


あーそーなの・・と、母親はちょっと困りギミで(もしもその日が貴方に来た時は、ここじゃなくて・・その時は家の中に入ってちょうだいね!)ご近所さんの目が不信そうに見ているからって、加奈母が小声で言ってました・・やっちゃったんだなオレ。そんな母は私が若ければ、変わってあげてもよかったのに・・加奈ちゃんが、浮気はダメですとも言ってたな・・テヘ!


☆彡数日先の学校


祐介「もーしもーし、加奈ちゃん。そこは全体的にもうちょっと右で・・お願いね。」


あれから数日が経って、ストーりーをそれなり進めないとまずくね?なーんて思いながら、やっとこ我が高校の学祭の準備が始まった。

都立成敬中央高等高校の文化祭、そこで祐介のクラスがへんてこな?茶店を遣るらしいので、課外クは諸事情もあって当日のお手伝いは遠慮してますが、準備等は頑張っている最中です。

(課外クメイン部員は、当然加奈ちゃんですから)そこでの実働は主にオレなのだが・・だって勝手が出来ないでしょ?成敬北上々峰高等学校生の加奈ちゃんがチャカチャカとこなしてしまったら、それはそれで結構な問題に成っちゃうって訳ですよ。

それでも自主的に遣らない生徒が大半なので、やる気のある人が遣っちゃえば!の考えのほうが当然となりそうだけど、仕方のない真実はここでは見ない振りだ。

このクラスが学祭にやる茶店のメニューは(何を出すんですか)と、加奈ちゃんが近くの女子に尋ねると、ちょっとした飲み物や軽い食事とそこでのメニューはパスタや焼きソバらしい。メインでない自分等が不安を残す事であったが、今はその前の準備すら滞っているのでそっちが先決である。


加奈「当日は地域解放をしますし、高校の文化祭といっても軽食店なら繁盛しちゃうらしいですから、調理仕込み用のコンロ数台と最強の見方!レンジもフル稼動ですね」


それを聞いていて居たクラスメイトの1人の女子が、その意見に怪訝そうに答え返した。


京子「調理の麺は両方とも乾麺を使うけど、レンジでチンな物なんて食べさせないわよ。お金も貰う訳だから、そこそこちゃんとした物を作って出すつもりではいるんだ。」


そこでレトルトを使ったレンジでチンは、それは調理でないと主張をしたのだ。そのこの日が初顔合わせで、それが初対峙の二人でもあった。 だが当日の展開を思慮してからやっぱりレンジで!を協調する加奈ちゃん。レンジ好きってのは料理とかはしないのか?お母さんしっかり教えといてね、この子の将来が不安です!オレのお腹はもっと不安じゃー。

まだ拘るのかそのレンジに!そんな訝しい目を注がれながらも、自らが学生で能力不足の若輩なのだから、王道で無難に謙虚でなければならない。そこは背伸びなどせずに無事に成し遂げるを前提で行きましょう。


加奈「当日は乾麺を茹で鍋でソースを2種類?3種類?それを調理に。集客したお客さんの回転も考慮しますので・・現状況でそこでの湯で鍋は、何個くらい集まりそうなんですか?」


ここの準備把握が出来ている人に聞いたところ、コンロと鍋のセットで5個程度はキープ出来たらしい。


加奈「・・5セットでは厳しいと思います・・レンジを使いましょう!焼きそばもパスタも半茹にしといて、一人前ずつぬれタオルに挟んで仕込みは完成です。その後は注文が入ってから、レンジでの仕上げが1〜2分!そこからソースを絡めれば出来上がりです。」


えっ?なにそれ?川崎が聞いて来た。この人・・川崎京子はいいおん・・いい奴です。ここでは忙しいお店の遣り繰りの・・裏的な事をする重要な奴ですが。


加奈「お店の忙しい時間帯にはこうやって、少ない定員で捌く所もあるんですよ。ただ普通ならそのタオル包みごとに、大型冷蔵庫に大量に仕込みしておきます。茹で過ぎも待ち時間も最小にして、ここでの集客場所の狭さはそれで最大有効利用ですね。そのタオルは綺麗な物を使って、出来れば毎回洗うと変な匂いが付きません。焼きソバはソースを絡める前にチンして、その水けを取るとより本格的です。」


そこには使える物はしっかり使え!薄利多売が集客と営利を約束しているのなら、食事何処は工夫でまかなわないと、こんなご時世ではとっても苦しいらしい。 それを聞いてうっひゃーって川崎が驚いてる・・オレはもっとだが。お母さん遣ることやってるね!そこで感無量のご満悦に浸っていると、他にご飯物は出さないのですかと、加奈ちゃんがさらに食い込んだ。

チャーハンとかドンブリ系は、ご飯の用意や食材の範囲に無理があるのでこの辺は辞めたらしい。

それでしたら何食かの数量限定で、簡単な物を出せばいいんじゃないですか?と。ここからも加奈ちゃんのターンだが・・そんな事を言ってる人より、提案された難しいレシピにびっくりしたのはオレだけか?

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