第8話 

ここでの料理が何かの勝負を引き起こす事には成らないので・・評価が学業の成績に及ぶ事は稀に良く有ったりはする。


加奈「それでは炊飯器入りまーす!それが1回炊きで5人前、2~4回程の10~20食限定ですね。ここで出しましょうワタシの奥義!そこはワタシ達がパイ軍団だけに、炊飯器で炊けちゃうパイリア!あっ、ノリ過ぎちゃいましたーパエリアで~す。」


食べたいぞパイリア!何時出来たんだそのパイ軍団?目のやり場に困ってま~す。


京子「へぇ~何、この子凄いじゃない。見た目もいいけど女子力もいい!・・ん?えぇ~と今気ずいたんだけど、この子どこの子・・誰かの妹?制服違うし・・」


いつも他人への依存をしない京子だが、そこで加奈を始めて認知した瞬間でもある。


加奈「はい!わたくし、南城可奈は坂上祐介の妹です!・・ウッ、ウソです。名字が違ってるのにそのまま言っちゃいました。訂正します!今日は祐君のオモチャ?そうゆう設定で来てます。それがどんなオモチャな感じなのかは、理解してませんけど・・」


突然華奢な女子から私はオモチャ宣言で、この周りが急に騒がしくなったなと思いそいつらを見渡せば、先ほどまでいなかったクラスメイトが自部活の様子を見終えて戻ってきたらしく、けっこうな人数でオレ達を囲んでいた。

それは解る、この辺の心境としてはどっちに参加をしたら面白いのかだ?冷静に考えたならクラスでの滞在時間は長いのだが、部活の方がそこでの対人密度は濃いのだろう。

だが、何故か突然何処かから現れた女子がそこで目立っていたら、妄想思春期が爆走中の男子がここに安住の地を見つけたと勘違いしても仕方が無い。

この騒ぎのクラスメイトの一人から、誰のオモチャだって?と声が上がった。そこで聞こえた響きがとっても厭らしいぞ!さらに誰かが「みんなで遊べるって事でいいの?」「おいおい」とオレ、こいつ等は爽やかさが売りのスポーツイケメンを演じてたんじゃないの?なんて事を言い・・


祐介「どう聞き間違えたらそんな形に取れちゃうのかな?今日はオレのオモチャ設定なの。それはオブジェとかマスコットとかそういう幻想的な存在だな。実は只今課学外クラブから絶賛レンタル中の、成敬北上々峰高等学校の1年生南城加奈ちゃんその人だ」


オレがそう紹介すると・・


加奈「はい!ワタシはこちらの学校にある部活動の課学外クラブ!に遠征所属させて頂いてる南城加奈 、成敬北上々峰高等学校の1年生です。同じクラブ所属の坂上祐介君の・・彼女で恋人で愛がいっぱい・・」


そうそういっぱいですよ、溢れて溺れてしまうから前が見えないって良く解ります。でも見境が無くなるとは違いますよ?


加奈「すべてが始めてなので、色々と・・色々と・・捗ってませんけど・・ね。はい祐君!今日も愛はスペシャル盛りで」


ぶっふぅぅぅ!いやぁほんとびっくりだ。それでも色々な諸事情もありますですので。


祐介「彼女が通っている北方高も同日学祭なんだけど、両在校1年生は傍観者の扱いになるからさ。それでも部活イベントだけは、優先されて参加可能な訳。だが課学外クラブは催しがないので遣ることはない・・が、成り行きでも遠征事情を遣っているので、それなのに何も無いではまずい。そこで課外クの存在が疑問視されるのは、教諭方々にも問題になるらしい。そこは両高教諭の話し合いの結果が、特例措置を使ってこのクラスでの一時的なレンタルだな。でも当人は1年生なので長い時間のお手伝いは禁止って訳だけど、オレの保護者付きって事の了承だな。」

京子「へぇー坂上の彼女なんだ?ふ~ん、坂上のどこがいいの?あっ解った!部活の先輩後輩で、イヤイヤ付き合ってるとか?逃げそびれちゃってるとか?」


なんだそれ!その言われ方がひどくね?オレってばほぼゴミ扱いじゃん。確かにどっかでしたよ自分をゴミ扱いに・・聞いてたのかおまえ。忍者みたいな地獄耳だな、忍者にしては存在感があり過ぎだよそのおっぱいが。

ここで究極の選択が・・京子のおっぱいを凝視して京子に蔑まれ、加奈ちゃんにも冷血な視線を貰うのと、加奈ちゃんに振替っておっぱいを凝視していいですよアピールを貰ったオレは、その場で京子に張り倒される。考えたオレがバカなだけか・・

今のオレはこの展開の事情が解れば散れとばかりに、手をヒラヒラさせて周りをシッシッとしてると加奈ちゃんが補足をする。


加奈「裕君との関係は逆パターンと言うか、それを後で理解しましたがワタシがナンパした?見つけて連れて来て告白してウンと言わせてよっしゃーって感じです」


そこで両手のこぶしをグーにしている、その加奈ちゃんの様子を見ていた京子が追口する。


京子「だってだって、みんなの見識もほぼ同じに感じるのよね。貴方は顔もスタイルもグーって感じだし、話によると料理まで出来ちゃうお得な子でしょ?特上盛りで後は勉強な感じは・・?」

祐介「オレが知ってる事は男は中身だと言ってるし、オレの愛は誰よりも」


ここで京子の蔑む視線が痛いが無視だ。強い!愛し過ぎて前が見えない。誰?オレの目の前をふさいでるの・・


加奈「ぐわっ!戸惑いなしか?あたり構わずラブビームで盲目だ。」


えっ?なに?この子変な子なのと、京子は戸惑いを隠せないまま・・加奈ちゃんを見るその目が半目になりつつあった。


加奈「いつでも見境なしの裕くんのラブアピールが、ワタシを暴走させちゃうんです。」


だが、あくまでも仕事は現場で起こっている!このままでは何も終わらないので、そろそろ次のとこ遣るよ・・オレは冷静に言うのだった。そっちをもちょっと上に・・オレは加奈ちゃんに指示を出した。

当然だが、手を動かさずに何かが勝手に出来上がる事は無いからな。オレ達のまわりに集まっている男子は、揺れる目の前の幻想だか妄想に酔って仕事になっていないし、それを見ている女子はやってらんねー状態だが。

今やっている事がそもそも必要なのか?そこは教室の中を飾っているのだが、クリスマスとかの勘違いがマックスになってるぞ。後処理のゴミはどうすんだよ?白い幕で全部を隠せれば簡単だったのに・・暗幕をつかって闇鍋ハウスにして救急を待機させれば良かったかも?


京子「北上校の在学生?あの学校はうちより偏差値が高いよね?バリバリの進学高でしょ?ついていくのも大変なんじゃないのたぶん・・」

加奈「わたしは元々進学目当てというよりは、家から近かったので・・でもでも勉強は大変かもです。前回の期末の成績はちょっと落ちてました・・10位くらいになっちゃって・・ハハ」


ふ~んと聞いてた京子は順位とかあったっけ?それはクラス単位では無いよね?


京子「あれ?順位って・・クラス単位なんてはずはないわよね?うちの高校も発表は、学年単位の上位だけだったけど、学年10位って事?スペック高!この子揃いまくりだ。」

加奈「あっ、でもでも!大好きな数学が2位に落ちたんで、それはけっこうがっくりしちゃいました。」


ほんとになんじゃそりゃって感じです。京子が思わず(坂上いいの拾ったね。あっ!拾われたんだっけ、ゴメン!)なんかオレの扱いが雑じゃね?落ちて2位ってなんだよ。一番上の争いに負けたって事か・・確かに、昔のオレはやれる子ではあったけど、今が良ければそれでいいし。


加奈「ワタシは可愛くない女ですから、いいのでは無いですよきっと・・はい」


そりゃそーでしょ!と京子が言うと、加奈がやっぱりそうですよねと頭を垂れた。ん?


京子「あれれ?何を気にしてんの?トータルで天が二物を与えた感じだから、そりゃー間違いなく周りからの意見は可愛くねーって、特に女子達には言われそうだけど。そんなのやっかみやヒガミに嫉妬が、ばりばりでしょそれ?そんなの仕方ないじゃん」


こ、こいつ凄く嬉しそうなんだけど・・いつから笑える話になったんだ?こんな京子を可愛いって意識とかしちゃダメだよね?


京子「そんなんでくやしいって言ってる奴等なんか、それなら可愛くなってスタイル良くして、頭が良くなってから言ってみろって話だからさ。それが一緒に比べられるのが嫌でそんなことを言ってるだけなら、そんなの相手にしなくていいんだよ。アタシは全然気にしないよ、貴方より大人の魅力は勝ってるからねムフ!」


はい!って返事をした加奈ちゃんはとっても嬉しそうだ。しかし、大人の魅力ってなんだ?どれだ?・・あれか、文字でいえばダブリュー的でおっきく柔らかそうで、オレを昔に苦しめたやつ。鼻の中でもそもそすんだよな・・


祐介「確かに癒しのオーラは強力だけど、女王様と京子様が時々かぶるからクラスメイトには少し遠慮が必要かもよ。オレは癒され組だけど」

京子「誰が女王様なのよ・・でもいいわ。あんたは癒されて得してんのなら、ちゃんと緩衝材になんなさいよね。解った祐介」


何でオレが家来的な・・名前も呼び捨てされてるし・・緩衝材って何だよ?おまえは意外とトラブル作るタイプだからな。


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