第68話 彷徨の夢路
広志は、夢を見ていた。
ウリ坊が、たくさん居る。
その内の1頭と目が合った。
・・・・あーーああーー、あの時の猪だ!
マスクをしたウリ坊と、たくさんの親猪が
自分の周りに・・・。
皆、ものすごく忙しそうだ。
自分も手伝わなくては・・。
いけない、どうしたんだ、身体が言うことをきかない・・。
背中が痛む!
誰か助けて!
由紀! 雅史! 智史! 誰も居ないの?
神様!お願いです。今、此処、何処ですか?
暗い・・ 暗い、、 寒い、、 冷たい、、
うわあーっ、真っ赤な血が・・車の中から溢れてくる・・・。
カラーの映像が押し寄せてくるかと思えば
急にモノクロになり
腰が猛烈に痛む。
麻酔の追加で、痛みが薄れると、意識が途切れる。
もういい、もういいから、家に帰して・・・。
愛犬リッキーが、足に噛み付いてくる。
なんで? なんで?
暗闇の向こうに母が居て、顔をしかめている。
向こうへ行け? こちらに来るな!!
両手をこちらに向けて、追い払おうとしている。
なんで?どうして?
スローモーション映像で、大きい猛獣が、かぶさって来た!
もう、駄目だ! もう最後だ・・・。
両手が自由にならない。
まるで、鎖でつながれたような感覚だ。
起き上がりたいのに、起き上がれない。
うわあーっ、身体が落ちていく・・。
ものすごいスピードで、落ちていく!
・・・・・・・・・・・・・・・。
思わず、首を左に振った広志の目に
小型のテレビモニターが映った。
何だ、あれは?
それは、手術の模様を録画しているモニターであった。
そこで、再び、麻酔が切れかかり、広志は意識を回復した。
愛甲先生が見える。
他の看護師さんも見える。
「大丈夫ですよ。もう少しですよ」
看護師さんが耳元で囁いてくれた。
「・・・」
「痛みますか?麻酔打ちましょうか?」
「・・・・・」
そこで夢が途切れた。
実際の手術の場面といろんな回想が入り混じって
ちぐはぐで、わけのわからん夢であった・・・・。
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