第62話 猪の狼藉

 その頃、市内中心部に何と 猪が現れ

けが人が何人も出た。

猪の走る速度は、相当なもので

走って逃げても

あっという間に追いつかれ

牙で傷つけられる。


 郡部では、死亡者まで出た。

鳥獣保護区が仇となった。


海岸にも出没した。

対岸の瀬戸内の島から泳いで

渡って来る猪もいた。


泳ぐことは、あまり好きでないらしいが

30km泳ぐ猪もいたそうで

おちおち、砂浜でのんびりすることも

出来ない。


 ニュースで見ると

猪の牙で、えぐられた、車のボデイーが

無残な傷跡を見せていた。

「猪見たでえ」「どこで?」

「猪って、こわいなあ」が

地元の人の挨拶代わりとなった。


 ゴルフ場の被害も大きかった。

猪が、土を掘り起こしてしまい

グランドが、ぼこぼこになっている。

まるで、耕運機で耕した後のようだ。


 最近は、皆が用心して食べ物になるものを

片付ける為、土中に潜むミミズを

食料にしているようだ。


 おなかを空かした猪は恐い。

子供を連れている猪も恐い。

罠から脱出して、手負いの猪も恐い。

最近は、猟友会の会員も減少して

山も里山も、猪の天下となっている。


 

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