第58話 突かれても
久しぶりに道場に出ると
「原氏はもうやめたよ」と、森先生が
寂しそうに話される。
女性剣士は、消えた。
以前よりも少し人数は減ったが
それでも県内外のいろんな道場から
出稽古に若者が出掛けてくる。
多くは、2,3回稽古に来て、又、別の道場に行く為
いつの間にか来なくなってしまう。
そんな中に、現職警察官の和出氏がいた。
地稽古の最中に、わざわざ手招きされて対戦した。
蹲踞の後、すぐに突きが来た!
激しく素早い突きである。
おもわず「危ない!」と叫びそうになった。
喉を、まともにやられたと思った。
片足を思い切り後方に飛ばして避けた。
しかも、引かない。
突いたままである。
恐ろしい突きである。
以前の横山の、「防具外しばき」を思い出させる突き。
何でまた、初対面のこの俺に・・・。
面で行く。面で行く。
相手の面が届くより一瞬早く面を打ちこむ。
面!面!面!の3連打である。
和出が驚いて退がる。
更に面である!
相手は現職の警察官である。
年齢は自分より一回りは若い。
しかし、打てる、打てる、打つのだ。
全く何も聞こえなくなった。
まるで別世界に居るようだ。
身体は、熱気球のごとく燃え盛り
心は、シーンと鎮まっていた。
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