第47話 実技 始め!

 「益田さん、早う着替えよ。予定より早いペースで進みよる」

そう言ってくれたのは、東さん。

頚椎を痛めて稽古を休んでいるが

今日は、救急班で待機するそうだ。


 とりあえず、トイレに・・・。

何と!小学1年生くらいの男の子が、行列である。

しかも、袴を一旦はずして待っているので大混雑!

10人以上居る・・・。

広志は、何か、悪夢を見ているような気になって来た。

全てが空回り。

やる事、為す事、全部が逆目、呪われている・・・。


 着替えの出来そうな部屋を開けると、パイプ椅子が

ぎゅうぎゅう詰めに押し込まれていて

立錐の余地もない。

仕方ないので、体育館の通路で、人目を憚りながら着替えをする。

うーーううう、寒い!身体が固まる寒さだ。

室内にも関わらず、耳たぶが切れそうな冷たさである。

身体がシャンとしない。まるで、時差ボケのようだ・・。

 着装もまずいだろうな・・と思いながら

観客の前の方に進む。


 1級の審査は、すぐに始まった。

まずは、2人と実技で戦わなければならない。

落ち着かなければ・・・・。

もう自分は、若者ではないのだぞ!

落ち着け!落ち着け!!

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