第46話 読みが・・・甘かった・・。

 「広志!起きないかんで!」

壁の龍馬がそう言ってるように見えるが

翌日広志は、まるで死んだように眠った。


 食事もとらずに眠った。

あちこちの筋肉が痛む。

稽古どころでなかった・・・。

すぐに夜が来た。


 いよいよ審査の当日。

早めに会場に向かう。

全く土地勘のない場所だ。

その体育館の傍には

めぼしい建物がない。

田んぼや畑の中の建物である。

カーナビが示す場所と微妙に場所が違う。


 2回ほど農作業中の方に教えてもらい

やっとの事で駐車場に入った。


 ものすごく広い駐車場なのに・・

満車、満車である。


 これまた、やっとの思いで

1番奥の、ほとんど、畑のあぜ道のような所に駐車して

竹刀袋、防具袋をさげて急いで歩いた。


 遠い・・体育館の玄関まで300mはある。

なんでこんなに人が来てるんやろか・・・。

せいぜい10人かそれくらいの審査をイメージ

していた広志の大きな勘違いが

体育館の玄関でハッキリした。


 すごい人、人、人である!

小学生、中学生、高校生、大学生

一般人、応援の父兄、剣道連盟の役員さん

ボランティアの方々・・。

場所は郡部ではあるが、大会である。

単なる審査会ではない。


 靴箱は、満タン。

溢れた靴や履物が、所狭しと並んでいる。


 これは、稽古着に着替えるだけでも大変・・・。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る