第45話 1日だけや。

  まことに、まずい事になった。

唯一の救いは、工事の翌日が休みで

その次の日が、審査日であった。

1日余裕がある・・・。

その思いだけで大阪に向かい

高いビルの上に立った。

1月下旬の大阪の風は、厳しい冷たさであった。

足場が悪く、強風時は、吹き飛ばされそうになった。

 一日だけやから。

1日だけやから。 そう自分に言い聞かせて作業に励んだ。


  作業終了時、大久保社長が

「おおきに、おおきに。助かったでえ。

 どや久しぶりに一杯行こ!」

誘いは嬉しかったが、

「又、今度な。大阪はちょいちょい来るんで

 又、電話するわ」

高松に着いた夜は、風呂にも入れなかった。

どうも風邪を引いたらしい・・・。

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