第14話 なんと!7段?たいしたことないのう。

 剣道は、名乗らなくとも

胴の下側に苗字が出ているのですぐに覚えられる。


天敵は、横山と言う御仁である。同じくらいの年齢か

1つ、2つ上か。

皆勤の広志に対して、横山は滅多に稽古に来ない。

 他の先生方もあまり近寄らない。

好かれていないのはすぐにわかった。

こう言うタイプは、当たらず触らず。

触らぬ神にたたりなしである。

何でも7段とかで、初心者の広志には

雲の上の存在。関係ないのである。

 

 普段は14,5名での稽古が多いが、時には20人を超すときも

あり、その時は、広い体育館も手狭になる。

あいかわらず、黙々と素振り、切り返しを続ける広志に

「面をつけて良い」と言うお達しがあったのは

梅雨明けの頃であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る