第12話 緑内障

 高知出身の4段の方が居て

着替えの時に隣り合わせた。

「益田さん なんで、剣道 始めよと思たん?」

広志は高知生活が長かったのでつい気を許して

話してしまった。

「緑内障言われてねえ・・・。

 見えてるうちに剣道やりたいなあと・・・・」

「緑内障? 白内障?」

「・・・・・・・」

どうやら、あまり良くわかってないようで

それ以上の説明はしなかった。

 1年前に眼科で言われたのが最初で

2軒ほど別の眼科にも行ってみたが

診立ては同じであった。


息子達は大きな病院で診てもらえと

何度も電話してきたが、行かなかった。


 4種類の目薬を一生さしていけば

失明は防げるというのが

医者の説明であった。


1年ほど通ったが良くも悪くもならず

最近は行けてないし、行く気も失せた。


「まあ、寿命が来るのが早いか

 見えなくなるのが早いか

 我々にもわからんのですわ」

それが、医者の説明であった。

目薬をさした時の痛みと充血がひどくて

まるで、うさぎのようになってしまい

結局やめてしまった。

 見えてるうちに剣道を始めることが出来た。

それはそれなりに、良かった。


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