第11話 「剣道はな、すり足ぜ」

 幕末の剣豪、山岡鉄舟と勝手にニックネームをつけた先生に

体育館に入るなりピシャ!と言われた。

「益田君 剣道は、すり足ぜ。ドンドン音を立てて歩かれん」

全く気づかなかった。うかつであった。

広志は、その後、きちんとすり足を守った。

稽古の後の掃除でもすり足。

体育館を出るまですり足。

家の廊下もすり足。


 鉄舟先生は、身長185cmくらい、体重は90kgくらいか。

対する広志は、167cm、62kg。

切り返しを教わった際に、竹刀で胴をど突かれた。

思わず後方に倒れそうになった。

もっと気合を入れろちゅうことか・・・。


 切り返しは、高齢者にはちょっときつい。

しばらく続けると、息があがる。

足が重くなり、声が小さくなる。

・・しんど・・。

瞬間思ったところを突かれた。

その瞬間の面奥の眼は、やっぱり鉄舟であった。

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