第6話 自己紹介

 2回目の稽古も30分前に着いてしまった。

体育館の駐車場に車を停めて見上げた先に

桜がほぼ満開となっている。

体育館の隣は、神社であった。

時間もある。 広志はお参りすることにした。


小さな神社の参道で上を見上げると

桜が折り重なるように枝を広げている。

1番奥に進み、お参りをした。

「稽古が無事に出来ますように」

何かざわついていた心が、一瞬落ち着いたような気がした。


 6時半になると車が続々と入ってきた。

「こんばんわあ」気軽に挨拶をくれる。

「こんばんわあ」自分も挨拶を返しながら

後部座席の防具袋と竹刀を握った。


体育館の1番隅で袴、稽古着に着替える。

中央の車座に呼ばれる。

森先生が、紹介してくれた。

「中川さんの紹介で来られた益田さんです」

どうぞ自己紹介をと言う感じで手招きされ

「益田です。牟礼町から参りました。

 どうぞよろしくお願いします」

武道歴として、中学生の時の柔道

社会人になってからの合気道を

言おうかとも思ったが踏みとどまった。

何か、言わない方がいいような雰囲気であった。


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