第7話 面なしで、メン!

 正座をして、膝を伸ばして、胴を着けていると

中川さんが寄って来た。

「このあいだは、ごめんな」

「防具は、あるんやな」

「はい 息子のがサイズが合うもんで」

広志の竹刀を見ながら

「竹刀は新しいのを買いよ。

 事故があったらいかんき」

「・・・・・・」

「竹が割れて目に入る事故が

 たまに起きるんよ。気つけてなあ」

「へえー。そうなんですかあ」

「森さんが教えるの上手なんよ。

 よう教えてもらいな」

「しばらくは、面をつけんと

 やったらええなあ」

そう言って中川さんは稽古の輪に

入って行かれた。


颯爽とした稽古である。

15,6人が体育館狭しと打ち合っている。

掛け声も凄い。

中川さんは面をつけていると

年齢不詳となる。

姿、形から行くとまるで

大学生のような動きである。

6段というのを誰かに聞いたような気もするが

確かな事は知らない。

森先生が来てくれて

前回同様、素振り稽古となった。


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