第2話 体育館を訪ねて

  約束の6時より、30分も早く体育館に着いてしまった。

10分前になっても誰も来ない。

シーーーンとしている。


運転席で・・・・・・・。

・・・間違うたかな・・・・。

・・此処やないんかなあ・・・・。


中川社長に電話をしてみるが運転中なのかマナーだ。


おおっ!やっと1台車が!

 ジャージ姿の主婦らしき方が屈んで

体育館のドアを開けようとしている。

「すみません。こんばんわあ」

「はあい なんでしょうかあ?」

「あのう、剣道の稽古があると聞いたんですけど」

「剣道?ここで?そんなん聞いたことないですけどねえ・・。

 まあ私も、いつもここに来てるわけではないんで

 詳しくはないんですけどね」

「はあ・・・・」

「山側にもう一つ体育館があるんですけど

 そちらじゃないですかあ?」

「はあー、 もうひとつあるんですかあ(汗)・・」


お礼を言って運転席に戻ると携帯が鳴る。

中川社長だった。

場所は間違っていなかった。焦って動かなくて良かった。

ところが、社長は急用が出来て来られないと・・・。

紹介者が居ないと、なんか不安やなあ。帰ろかなあ・・。

駐車場に次から次と車が入って来て

あっという間にほぼ満車になった。

袴姿の男たちが竹刀と防具を抱えて体育館に

入って行く。

えええい、ままよ!車のドアは景気良く開けられた!

ここが、未知の険をめざす剣道の入り口であった。






 



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