第3章 プロセスの重要性


─結果だけを出せればそれでいいわけではない─



 プロサッカーの世界は結果がすべてである。だが、その一言で片づけることができるほど、サッカーの世界は単純ではないと、私は考えている。なぜなら、全てのチームがより高いレベルでサッカーをし、長い目で見れば勝者と敗者が決まる。この一言だけを読み取れば、それは単純に結果だけの世界である。しかし、高いレベルで拮抗している場合、勝利するためには「運」という要素がわずかながらに必要になってくる。そしてその「運」を引き寄せるためには、それに至るプロセスが重要になるのだ。



─「運」をたぐりよせるには─



 私の尊敬するジャパニーズベースボールの監督で『勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし』という言葉を残した方がいる。まったくその通りだと思う。私はこの言葉の裏に「運をたぐりよせることが出来た試合には勝利が待ち、手繰り寄せることができなかった試合には負けが待っている」という考えがあると思っている。サッカーの試合の場合、「運」というものは多くは相手のミスであったり、審判のミスや見逃しであったりする。だが、そのサッカーでの「運」を活かすためには、常にその「運」を見逃さない姿勢が重要なのだ。

 パスミス、クリアミス、そういった「運」を取りこぼさず、ゴールにつなげるには常にボールの行方を窺い、ゴールを狙わなければならない。多くの「運」を取りこぼす選手の場合、走らず、受けに回ってしまうことが多くある。


 逆に、こちらが相手に「運」を与えてしまうことがある。その場合は、それを絶対に活かさず、相手に運を取りこぼさせることが必要になるのだ。




─プロセスの大切さ─



 延々と「運」について書いたが、「運」をとりこぼすことが無いように、または、運を相手に与えないこと。つまり、ミスを見逃さず、ミスを取り返すことが私はプロセスだと思っている。そんなことは当たり前のことじゃないか。そう読む人は思うだろう。だが、その当たり前のことができないチームは決して上には上がれないのも事実なのだ。


 まとめると、結果として「勝った」「負けた」というものがあるとして、そこに至った経緯、過程を分析し、重要視する。それが指揮官に必要な要素のひとつとなる。勝利というものはもちろん大切だ。だが、それは一方で、ただの勝ち点3に過ぎないという見方もある。なぜ勝ち点3を取れたのか、それが一番重要な要素であり、唯一無二の財産なのである。尚且つ、そのプロセスを重要視するからこそ、勝利というものを手にすることができるのだ。

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