第17話 逃れられない状況

久々の栞との情事の後



栞はいつものようにぐっすりと眠っている

寝顔はまるで子猫のよう



麻耶子は栞の柔らかい髪を撫でる



眠りながらも気持ちの良さそうな顔をする栞に

思わず微笑む麻耶子



ここ数ヶ月

色々あった



すべてを栞には言えないが

麻耶子はフラフラと揺らめくロウソクの火のように不実に揺れていたのは確かだった



しかし

彼にまた会えた瞬間に麻耶子の心は簡単にも彼で一杯になった



麻耶子は栞に心を摑まれているという事に気付かされていた

麻耶子は栞の可愛い寝顔を見ながら実感し眠りについた



幸せな優しい眠りが深くなった頃



”ピンポン”



麻耶子はインターフォンの音で起こされた



眠い目をこすりながら時計を見ると



8時過ぎ



こんなに朝早くに誰なんだろう?



麻耶子は単純な疑問を持ちながらも

インターフォンの画面を覗いた



立っていたのは悠介



”えっ!!”



心の奥で叫ぶ

寝起きの頭に衝撃が走る



今までにも悠介は麻耶子の部屋に遊びに来たこともあったけど

事前に電話をくれてから来ていたのに

・・・・・・どうして?



こんな早くに・・・・・・どうして?



頭の中を?がグルグル回る



麻耶子は急いで部屋着をまとい

リビングに脱ぎ捨てられた栞と自分の服や下着を拾い集め寝室に持っていく



まだぐっすり眠っている栞



麻耶子は栞の肩を何度か叩いて起こす



いつになく激しい起こされ方をされた栞は少しムッとする



「おはよう・・・・・・」栞



麻耶子は慌てて栞に今の状況を話す



「悠介が下に来てる

まだインターフォンに出ていないけど

どうしよう・・・・・・」麻耶子



「何で?」栞



栞の目が覚めた



「分からない」麻耶子



栞はそこではじめて慌てて服を着はじめた



その時

玄関のドアを叩く音



”ドンドンドン”



「姉ちゃん!起きてる?開けて!!」悠介



ロックの解除を知っている悠介は待ちきれず

部屋の前まで来てしまっている



麻耶子と栞の顔は青ざめる



「ここに居て・・・・・・」麻耶子



麻耶子は寝室の戸をしっかり閉めて

小さく深呼吸し玄関へ



「はい ちょっと待って」麻耶子



そう言って

玄関の鏡で顔のチェックをして栞の靴を静に下駄箱の奥にしまい

玄関のドアを開ける



悠介は無表情で立っていた



「おはよう・・・・・・」悠介



「おはよう・・・・・・早くから何?」麻耶子



麻耶子は平善を装う



悠介は麻耶子を除けるように肩で押してキッチンへ進んだ

シンクに置いた二つのグラスを見つける



「昨日、友達が来ていて

遅かったから洗うの忘れてた・・・・・・」麻耶子



麻耶子は何も言われないうちに言い訳をした



悠介は無言のままにリビングへ入る

キョロキョロと周りを見渡す



「何?」麻耶子



悠介はベランダの窓を開けて外を確認するように見た



そして何もないことを確認すると直ぐに

無言のまま寝室の戸を勢い良く開けた



そこには

服を着ることには間に合ったが

微妙な表情を浮かべた栞が立っていた



悠介は栞を睨みつけて

次に麻耶子の方を険しい顔で見た



「どういうつもりなのか?

俺が分かるように説明してよ!」悠介



どうやら悠介は何らかの確信を持ってココへ来た様だ

それはこの真っ直ぐ険しい表情を見たら分かった



もう言い逃れはできない状況だと

麻耶子は観念していた




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SWEET DIARY なかむら結 @yuwane819

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