第5話 23歳のクリスマス

麻耶子が23歳の歳

実習やテスト・論文などに追われる日々も終わり

卒業も控えて気が抜けたせいか?

高熱が出て寝込んでいた


12月24日クリスマスイブ


楽しみにしていたクリスマスデート

麻耶子はその当時の彼氏 収一(22)との約束があったが断りの電話を入れた


「ごめんなさい

やっぱり熱が下がらない・・・・・・」麻耶子


「体調が悪いなら仕方ないけど

今までお互いに忙しかったけど

今日のことを考えて頑張ってた所もあるから・・・・・・

どうしても無理なの?」収一


麻耶子は鏡で自分を確認

熱のせいで目は潤みぼんやりしている

こんな顔で会えない


「ごめんなさい」麻耶子


収一は大きくため息をついて無言で電話を切った



収一との交際は大学に入って直ぐから

同じゼミで一緒に行動することも多く

初めは数人の仲間で居たが

気が付くと二人で会うことも多くなっていた


お互いに始めての恋ではなかったので

キスまでは早かった


しかし

麻耶子はそれ以上のことはどうにも踏み切れず

いい雰囲気になってものらりくらりと交わしていた


麻耶子もそういったことに興味がないわけではない

友達の話を聞いていると

自分も・・・・・・と思うことはあったが

臆病で慎重な性格と

それ以上に両親に対しての思いから

そういった事を大切にしたいと思う気持ちが大きかった

常に冷静で常に平常心

恋に浮かれたりしない様に見えた


”麻耶子のことを大切に思ってる

大事にしたいって・・・・・・だけど

好きな気持ちが抑えきれなくなることがある

それは不純なことではなくて

愛しているから”


収一はいつもそう言って

どんな状況でも冷静な麻耶子に不満を感じていた

自分ばかり一生懸命な気がしていた 


そんな二人だったが

5月はじめ収一が動いた


「これから数ヶ月お互いに忙しくなるね」収一


「そうね

卒業がかかってるからね」麻耶子


「年末まで学業に集中しようか?」収一


「そうね

大切な時期だしね」麻耶子


「ちょっと辛いかもだけど・・・・・・」収一


「ゼミで一緒だし別に会えない分けではないし大丈夫よ

辛くないよ」麻耶子


「麻耶子は こうして二人きりでは会えないの辛くないの?」収一


あまり恋愛に対して熱くならない麻耶子に対して

収一はたまにイライラを隠せない


「一緒にいることはこれからもずっとできるけど

学生生活で頑張らなくっちゃいけない時は今だけでしょ?

私達は学生なんだから

そちらを優先的にするべきだと思うし」麻耶子


収一は少し微笑んで


「麻耶子らしいな

まじめな意見

正しい意見

その通りだよ」収一


麻耶子はからかわれた様な気持ちになって少しムッとする

収一はそんな麻耶子の表情を無視するように目をそらして続けた


「麻耶子のいうとおりだって思うから従うよ

年末まで二人で会うのはやめよう

メールや電話も必要以上にはしない

友達程度

でも約束してほしい

12月にはきっと忙しさも落ち着いてるから

今年のクリスマスイブには二人で会おう

・・・・・・っでキスだけじゃなくって・・・・・・先に進みたい」収一


収一はぐっと麻耶子を見つめた

麻耶子は少し考えて


「そうね

わかった・・・・・・」麻耶子


うつむき加減で言葉少なく答える

しかし

収一はそれでもその返答が嬉しくて満面の笑みを浮かべる


「良かった!俺 頑張るから!!

12月24日のために!!」収一


麻耶子は本当に嬉しそうな収一を見て

やっと踏み切る決断ができそうだった


そして

約束どおり二人はそれぞれに学業を頑張り

12月をむかえメールや電話を徐々に解禁させた


二人きりで会えない期間が麻耶子の心も成長させたようで

未知の世界への不安よりも

早く12月24日が来てほしいと思うようになっていた



”12月24日

★★パークに行って

夜はその中のホテルの予約取れたから

一日中 一緒にいようね

9時過ぎに迎えに良く”


収一からのメール


★★パークってイルミネーションが綺麗で有名だから

クリスマスイブなんて人が多いだろうな・・・・・・

パーク内のホテルなんてよく予約取れたな・・・・・・

って言うかめっちゃ高いと思うけど・・・・・・


麻耶子は収一の気合の入れ方を少し可愛いと思いながら

楽しみに心待ちにしていた


12月24日より前にしておかなくてないけないことがあった

両親に嘘をつくこと

上手くできるかどうか?

ドキドキしながら母に伝えにいく


「ママ 12月24日 恭子の家で女子会したいんだけど泊まっていい?」麻耶子


基本的には外泊禁止

しかし

女の子だけの集まりなら極々たまにOKが出る

特に恭子は清楚でまじめで賢い子なので両親からの信頼はあつい


母は料理する手を止めて

振り返り麻耶子を見つめた


「パパにそう言ったら良いのね

ママは麻耶ちゃんを信用してるからね」ママ


なんだか見透かされているようで麻耶子は後ろめたくて母の顔をまともに見ることができなかった

でも

母は麻耶子の嘘を見抜きつつ

反対はしなかった

麻耶子は母に感謝し

そんな母の気持ちを裏切るようなことになってはいけない

しっかり責任を持った行動をしようと思った


そうしてむかえた12月24日

前々日より上がり始めた熱は当日がマックス

トイレに立つだけでもフラフラ

食欲はない


そして7時を過ぎた頃

収一に電話をかけた・・・・・・


収一はかなり怒っていた

そりゃ怒る

怒らないほうがどうかしてる

熱が下がったらしっかり謝ろうと

熱で回らない頭で考えていた


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