シュガーフラワーフラワーフラワー・シークレット

様々な感動が迸った身体を引摺り家へ帰ると、母がダイニングで書きものをしていた。何かを書いていた。・・・何かを。冷ややかなダイニングの真ん中には真ん中には蜂蜜のあめちゃんがゴロゴロしている器がある。

そういえば。

宿題してなかったな。

白々しい蛍光灯のもと私は部屋に戻り、ワラバンシを手に取り、ドアを開けてドアを閉めて、うんしょと母親の向かいに座る。

筆箱からシャープペンシルをだす。カチカチカチ、エイチビーの0.5。

「ねぇ、お母さん」

「ん?」

「どうして私は、はななの。」

「え?」

「名前の、ゆらい。」

しゃーあとプリントの明朝体のタイトルを、シャープペンで囲う。

「宿題なの」

「そう、それはね。」

母親がゆっくり目をそらす。何かを思い出すように。わたしがうまれたときのきおく。私が生まれた時の記憶。

「それはね、」

母親が、正面を向く。

母親と、目が合う。

記憶の中の母親と、目が合う。

そして。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る