シュガーフラワーフラワー・シークレット
エレクトーンは白黒だ。指に触れるとなめらかに無機質。ただそのモノクロトーンに触れると様々なありとあらゆる音が主張する。
それらの音はすべて偽物。
ストリングスは本物の美しさ、生々しさに遠く及ばない。オルガンだって大学の教会で聞いた荘厳な宇宙は音にない。モッキンもこんなにころころ愛らしく優しく本物は音はならない、 もっと激しさがある。
でもその私の耳を魅了して離さない、ひとつだけ圧倒的に好きな音があった。「ロシア・シンフォニー・ファンタジーメドレー」の中盤に出てくる、フロッピーディスクに収録された9番の音。
平たく安っぽい音。物理的にピアノから遠く離れたその音は私の耳を貫いた。
他の音にない迫力と華があった。強さがあった。
「ねぇ先生」
「何」
「この音は何の音なの」
「ああそれはね」
音が、止まる。
「トランペットだよ」
そうなんだ。
そうなんだ!
わたしはじめて知った!
トランペット。
きいたことあるよ。あの金ぞくの楽器でしょ!?見たことあるよ聞いたことあるよ、花!
「この曲はねラフマニノフの交響曲2番の四楽章なのよそこはねトランペットだけなの。だからいつもはブラスの音を使うんだけどここはトランペット単体なのよだからいつもと音の印象が違うのかもね」
そうなんだ!そうなんだ!
あのかっこいい音色はらふまにふのにばんなんだ!!にばんってなんだろう?へんなのへんなのへんなの!!!
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