第7話

一時限、授業をずる休みをした俺たち、俺と黒木は何となく近づいたり離れたりしながら廊下を歩いて、教室へと戻った。

黒木は俺が何処を触っても嫌がらなかった。

お互い服の上からだったが。

俺は今まで触ったことなかった女のアソコを執拗に弄って黒木を何回かいかせた。

俺はこれまでにない性欲で頭がはち切れそうだった。

黒木とやりたい。

してみたい。


教室に戻ってまずやったことは黒木の下の名前を調べることだった。

黒木早苗。


俺の頭からは野上の事はこの時消えていた。

無意識的に無視していたのかも知れない。


だから、教室に俺と黒木が連れ立って入った時の野上の顔とか全く見ていない。

野上の事を考えたとすれば、強引に迫ったら黒木にも嫌われてしまうかも知れないということだけだった。


正直、野上の事は理解出来なかったし。怖かったのだ、今までとは違う意味で。

俺の意識は黒木への性欲に身を委ねた。


昼休み、何時も来ていた野上が来なかった。

俺は、敢えてそれを無視した。


「あ、あのさ、よ、よかったらだけど・・・・、昼一緒に・・・」


黒木が声を掛けて来た。恥ずかしそうに。

俺は嬉しかった。色々な意味で。


「行こうか」


「う、うん」


昼休み、俺は黒木と過ごした。

黒木は聞き役に回ってやると饒舌な奴だった。

好きなアニメや漫画の話、ネットの面白い動画。

黒木ははしゃいでいて、無邪気で可愛かった。

何時もの暗い印象は残ったままだったが。


「今日、一緒に帰らないか?黒木、家どこ?」

「わ、わたしは、磯上駅から10分位のところに家がぁあるょ、だ、だからと言って何だってことないけどね」

「え、俺も磯上だよ」

「うん、見かけたこと合ったから・・・」


黒木は頬を染め、恥ずかしそうに言う。


「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」


暴走しそうな性欲を何かが止めていた。

また、女の子を傷つけてしまうという、怖さか、それとも、性欲の対象に嫌われてしまうという、即物的な懐疑なのか・・・・。


俺たちは、いや、俺は、会話を彼女に合わせて昼休みを過ごした。


授業が終わるまで、非常に長かった気がする。


俺は終業のチャイムが鳴ると、黒木の方を見ようとした。

野上と目が合ってしまう。

野上はすぐに苦しそうに顔を逸らした。

俺は野上を無視した。

そして、敢えて、野上に聞かせるように、黒木に声を掛けた。


「帰ろうぜ、黒木」

「う、うん」


黒木は嬉しそうに笑った。

俺はその笑顔に後ろめたいものを感じながらも連れ立って学校を出た。


黒木は終始楽しそうにはしゃいで居て気は楽だった。

ハンバーガーチェーンに寄り道して携帯電話の番号とかを交換し合った。

俺たちは駅で笑顔で別れた。


俺はその時、つまり、駅から家への道を歩いている時、ニヤけた顔をしていただろう。

その後を野上が着いてきているとも知らずに。


ふと、後ろを振り向くと俯いた野上が居た。


俺の5メートル程、後ろ。


「野上」


「・・・・・」


俺は言葉を返さない野上を無視して家へと歩いた。


野上は無言で着いて来た。


家の門の前で野上がやっと声を上げた。


「鴨志田君」


「なに?」


「・・・・・中3の時の事、・・・覚えてますか・・・」


「中3の時?」


「・・・・・・」


「私はあの時嬉しかったの。あの時から、今でも・・・鴨志田君の事、好きよ」


野上はそういうと振り返らずに帰って行った、夕暮れの中を。俺は何か酷く間違ったことをしたような気がした。

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