第379話思はぬ方に泊まりする少将(9)堤中納言物語
男君は、姉君に対しても、以前から並外れて美しいとお思いになっておられたのでしょう。
手違いで、このような関係になってしまって、姉君が本当にひどく泣き沈んでいるのは当たり前なのですが、男君は本当に馴れ馴れしくて、ずっと以前から思っていたと、様々とお話をします。
女君としては、それが死ぬほど辛いのですが、男君にはこういう人妻との過ちは、情愛も浅からぬものがあるのでしょう、姉君をこのうえなく、愛しく感じている様子です。
さて、今度は右大将の少将のお話になります。
意外なことですが、その同じ夜に、右大将の少将も姉君を御迎えに車を差し向けたのです。
控えていた侍女たちとしては、当然、お屋敷に残っていた妹君の御迎えと思い込んでしまいます。
妹君も「突然ですね」と思いますが、侍女たちが着物を着替えさせるものだから、御迎えの車に、言われる通りに乗ってしまったのです。
その御車が、右大将の少将が待つお屋敷の御車寄せに到着しました。
右大将の少将は、御車に乗ってこられた姫君の何かおっしゃる様子から、これは姉君ではなく、妹君であると察していると
同乗してきた侍女の弁の君が
「本当に想定外のお話となりまして」と申し上げたので、右大将の少将も察したことが本当であると確認します。
しかし、右大将の少将も、妹君については、日頃からとても若々しくお美しいご様子という話を聞いて、密かな想いも持っていたことから
「確かに、右大臣の少将でないからといって、ひどく邪険にもしないでしょう」
と言って、妹君をそのままか、かき抱いて車から降ろしてしまいました。
弁の君としては、もはや、どうしていいのかわかりません。
そうかといって、自分まで妹君をお見捨てすることもできず、弁の君も車から降りたのです。
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