第376話思はぬ方に泊まりする少将(6)堤中納言物語
ところが、姉君が太秦に参籠をされて留守の間に、乳母の娘が右大臣の少将を手引してしまったのです。
少将は、何の抵抗もなく、妹君の御寝所にお入りになってしまいました。
姉君も、後からそのことをお聞きになり
「私のことはさておき、なんとかして妹君だけでも、世間並に恥ずかしくない婿君を取ろうと思っていましたのに」
「このように二人ともに落ちぶれていく様子を、世間の人々が、どれほど呆れて聞くかと思うと、本当に辛くなります」
「亡くなった両親も、おそらく哀しくご覧になっているのでしょう」
と、恥ずかしく前世からの因縁と思い肩を落とすのですが、今さら仕方がないことなのです。
姉君は、そう思って妹君をお世話するのです。
右大臣の少将も、妹君を可愛らしく思うのですが、正妻の父上である按察使大納言の耳に入ると問題になると、父の右大臣があわてて諌めるので、姉君の夫の少将よりも増して、寄りつきません。
さて、右大臣の少将の姉妹が、右大将の妻。
つまり右大将の少将の母でした。
そういうことなので、二人の少将は、叔父と甥の関係で、親しかったのです。
当然、お互いの隠し妻のことも、了解済みなのです。
右大臣の少将は、正妻を持ち、すでに三年経ちますが、ほとんど正妻には寄り付きません。
あちらこちらの女の所へと、浮かれ歩きを続けています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます