第373話思はぬ方に泊まりする少将(3)堤中納言物語
寝過ごしてしまって、昼になってしまった時などに、少将が姉君のお顔を見ると、本当に気高く可憐で、いじらしく見えています。
姉君としては、情けなく訪ねてくる人も稀なお屋敷のうえ、少将のお気持ちも、しっかりとあてにすることができません。
「いったい、いつまで愛情が続いてくれるのか」とばかり、物思いに沈む生活です。
四、五日、少将が来なくて胸が塞がる日々が続くと、
「やはり、予想した通り」と、心細くなり、着物の袖も涙で濡れそぼってしまうのです。
姉君ご自身としても
「本当にいつの時に、こんな物思いというようなことを、習ったのでしょうか」と、悩むのでございます。
「秋のしるしを悲しく感じるのは、草木が枯れていく様子に似ているから」
(あなたの心にあらわれている飽きた様子が悲しい、あなたの心も私から離れていく)
などと
「手遊びに書くのが癖になってしまった。いつの間にか、私の気持ちも・・・」
とため息をつき、次第に夜も更けていきます。
気がつくと、ただうたた寝のまま、御帳台の前で横になっているのです。
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