第359話チゲ鍋の来襲(完)

少し辛めのチゲ鍋を食べ終わった。

一緒に食器などを洗う。


美紀が

「それでさ、この後部屋に来て」


なんと強引なことか。

俺の自由もへったくれもない。


「で、何するの?」

一応聞くけれど


美紀

「うるさい!来ればわかる」


何も反発できない自分が情けない。

結局、美紀の部屋に入った。


美紀は、さっそくの指示

「だから、家具の移動」


「このタンスをあっち」

「このベッドをそこ」

「ああ、本棚もね」

・・・・・


結局、かれこれ力仕事だった。

終わった時点で、筋肉痛&腰痛。


美紀

「はい!お疲れさん!」

「よしよし、良い働きであった」

「ほめてつかわす」

態度はでかい。


「じゃあ!」

と言って、帰ろうとすると


美紀

「ごほうびあげる」でビールの500。


しかし、これは危険な量。

一気には飲めないし、美紀も必ず「よこせ」と言う。

おまけに、美紀はすぐに酔うし、酒乱だ。


「持って帰る」

と言うと、その瞬間に缶を開けている。


「おいおい・・・」


結局、美紀の部屋で飲んだ。


美紀の意図は、要するに、自分の部屋が片付け中だったから、チゲ鍋を俺の部屋で食べて「恩を売る」。

そして力仕事は、俺にやらせということだった。


俺は既に「トロン」となった美紀のほろ酔い姿を見ながら、もう少し考えた。

この状況から脱出するには、飛び切りの彼女をつくることだ。

美紀には「ぐぅの音も言わせないような」可愛くて、優しい彼女だ。

本当に、何とかしなくてはならないと思う。

このままズルズルではよくない。


そう思って、美紀が眠そうなので、チャンスが広がった。

「じゃあ、チゲ鍋ありがとう」

で、部屋を出ようとすると


美紀

「寝かしつけてほしいなあ」


「それはだめ!」

「あぶない!」

で、必死に自分の部屋に戻った。


するとライン着信。

美紀

「あぶないってなに?」

「具体的に説明しないと、また襲うぞ」


返しようがない。

というか、またチャイムが鳴っている。


                                 (完)



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