第333話猫の物語(6)おとぎ草子から
さて、聖職者から、そんなことを言われてしまったネズミ和尚は
「はい、私といたしましても、あなた様のおっしゃる通り考えております」
「まだ若いネズミたちには、常々、諭してはおるのです」
「ただ、忠告は耳に逆らい、良薬は口に苦いという言葉通りなのでございます」
「若いネズミどもは、そんなことを諭すと、一層反発するのです」
「ただ反発されても困りますので、また諭します」
「まず、人間たちに憎まれてはいけない」
「東隣のお宅、北隣のお宅の洗い帽子や卯月帯、茶汲女や下女の前掛け、単衣、足袋、袴や肩衣の端を、唐櫃の隅とか包みやつづらのなかにひっぱりこんで家を作るなどはご法度だ」
「えさにもならず、手柄にもならない物に食いついてはいけない」
「壺の周囲を走り回ってはいけない」
「・・・などと幼いうちから諭してきたのですが、今の若い奴らときたら、まったく聞き耳を立てません」
「とにかく新奇で異様な風体を好み、人間の枕元から孤、天井裏、古屋根を棲家にして、暴れまわっております」
「もう、どうにもならない状態なのです」
などとネズミ和尚がボヤいていると、聖職者は夢から覚めた。
いつの間にか、朝になっている。
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