第332話猫の物語(5)おとぎ草子から
それに対して聖職者は、コンコンと説教をする。
「その沈み込んだ様子は、痛ましいなあ」
「お前には聖なる教えを聞かせた経緯もある、弟子とも考えている」
「しかしな、お前たちが、何故人間に憎まれているのか、話さなければならない」
「例えば、この私のような一人暮らしの男が、傘を張って立てておくと、お前たちはすぐに柄のもとを食い破ってしまう」
「それから、私の説法を聞きに来る人に、せめてもと思い、煎り豆や黒豆を準備しておくと、夜中にお前たちが全部食べてしまうではないか」
「私の法事用の服も普通の衣も食いちぎる」
「扇、書物、屏風、かき餅、六条豆腐も全部食いちぎる」
「お前たちが、そういうことをしでかすから、そうなると忍耐を訓練している聖職者でも腹が立つ」
「だから、そういう修行をこなしていない普通の人間が、お前たちを殺したくなるのも、当たり前ということになる」
と、人間からすれば、当たり前のことを語る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます