第326話ハイネの詩

「その美しい目で きみは僕をひどく苦しめる」

「そして、とうとう僕をメロメロにしてしてしまった」

「恋人よ、君はこれ以上何が欲しいの?」


図書館で、ハイネの詩集を読んでいた。

ここまで、メロメロにさせるほどの「美しい目」など見たことはない。

そもそも、どういう目なのかと考える。


ハイネも破滅型の恋が好きなのかな、そうも感じるけれど。


まあ・・・そこまでの女もいないし、そこまでの感受性も持ち合わせていないし。

そんなことを考えていたら、結局眠ってしまった。


目覚めると、図書館司書嬢の怖そうな目。

「あの、そろそろ閉館です」


とてもこれでは、メロメロは無理だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る