第327話ボードレール
「男をつかまえるのは技、とどめておくのは努力」
圭子はかなり酔っている。
どこかで聞いた話と思ったけれど、思い出した。
これはきっと、ボードレールの言葉だ。
酔っているけれど、確認しようと思った。
「ところで圭子、それボードレール?」
圭子
「あったりまえ!美希なんでそんなこと聞くの?」
「いや、そうじゃないかなあと思って」
「図書館で読んだの?」
圭子
「うるさい!図書館じゃないって」
少しムクレている。
「え?あの本読んだの?」
そういえば、かなり前に詩集を渡したことがあった。
圭子
「うるさい・・・」
涙ぐんだ。
なんとなくわかった。
「技はともかく、努力もなかったんだ」
圭子
「うるさい!次こそは・・・」
まあ、本当に呆れる。
これで十数回も失恋をする圭子なのだ。
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