第309話怖ろしい受付嬢(2)

受付嬢に怖い顔でいきなり叱られ、「帰れ」と言われても、専務理事との約束の時間もある。

自分としても、一応は有名私立大の講師。

それに専務理事にもらった名刺もある。

自分の名刺と専務理事の名刺を出しながら

「あの、ここの会社の専務理事とのお約束がありまして、時間指定もあるのですが」

来客の立場で、「お願いされて来た立場」、頭を下げる必要もないと思ったけれど、受付嬢のあまりのケンマクなので、少し低姿勢に事情を告げる。


受付嬢は、それでも厳しい目で見てくる。

「一応、専務理事に確認を取らせていただきます」

「とにかく、あなたのお名前など、本日の面会名簿に記載がないのですから」

「当方としては不審者と判断をさせていただきます」

「場合によっては、警備員を呼びます」

「いいですか、専務理事の確認が取れなければ、不法侵入で警察に通報しますよ」

そう言いながら、専務理事に連絡を取っている。


しかし、本当に驚いた。

招かれてきたのに、警備員を呼ばれ、不法侵入で警察沙汰とは・・・

それほど、自分の服装が品位を失しているのか。

本当に情けなく思う。


受付嬢は連絡を終えたようだ。

しかし、その表情は変わらない。

また誰かに連絡を取っている。

そして、その顔を上げ

「専務理事への直通電話が通じません、ご不在のようです」

「確認が取れないので、警備員を呼びます」

「その前にお帰りになられるか、それでも、ここに居残る場合は、警察に通報します」

「我が社は、不審者に対しては厳しい態度で対応していますので」

ますます厳しい顔になっている。

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