第298話美幸の恋(4)

悠は顔を下に向け

「ちょっと田舎で不幸があって、来られませんでした」

少し涙ぐんでいる。

美幸は

「そうなんだ・・・心配したよ」

悠は

「あの、のり弁ください」

その声も小さい。

美幸は、また心配になった。

悠に「のり弁」を渡しながら、

「ねえ、悠君、いろいろ辛いかもしれないけれど、元気だしてね」

「悠君の笑顔が大好きなの」

少し間をおいた。

「これ、本音なの」

美幸は、悠の目をしっかりと見る。


悠は

「はい、ありがとうございます」

丁寧に頭を下げる。


美幸は一歩踏み出してみようと思った。

というよりは、このまま帰すのが不安だった。

「悠君、いつかゆっくり話をしたいなあと思ってるけど、どうかな」

少しドキドキした。


悠は、少し目を丸くして美幸を見つめている。

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