第293話春麗物語(7)

雅と春麗は、部屋に戻るとお互いにふさぎ込みます。

雅の心には、和国に自分を待つ老いた両親や兄弟の顔、お世話になったお屋敷の主人の厳しい顔が、何度も浮かび相争い、苦しみます。

それでも、こうなったら仕方がない・・・何度もつぶやきます。

何か、心に決めたことがあるようです。


春麗の心には 自分が雅をここまで好きにならなければ、そして自分が雅の前から姿を消せば、愛する雅が苦しまなくてはいいのでは、しかしそんなことは絶対にできない、雅が好きで好きで仕方がない、そんな思いに本当に苦しみます。


深夜となりました。

雅は春麗を抱きながら、春麗にささやきます。

少し声を低くして

「春麗」

春麗は震えます。

もし、これがお別れの言葉になるのではと・・・

その涙も溢れています。

雅は

「春麗 僕のことを好きかい?」

春麗は泣いてしまって声はでません。

ただ、雅にむしゃぶりつきます。

雅は

「何があっても一緒だよ」

春麗はもう、泣くことしかできません。

雅は強く折れそうなほどに春麗を抱きます。


深く愛し合った後

雅は

「一週間後、全てを決める」

「しっかりと手順を踏んである」

「だから、心配はいらない」


春麗は

「私の命は雅様のもの」

「何があっても」


二人の気持は、もはや何があっても動かないようです。


二人は再び深く愛し合うのです。

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