第290話春麗物語(4)

雅は本当に熱心に、このお屋敷にある書物の勉強をします。

そして雅専属のお世話係となった春麗も、本当に心を込めて雅のお世話を務めるのです。

その二人の姿は、比翼の鳥、連理の枝・・・誰も切り離すことができそうにないほど、美しく睦み合うのです。


春麗は顔を赤くして雅に尋ねます。

「どうして私を?」


雅は頬を赤らめ

「それは春麗が好きだから」

「指が触れた時から春麗が好きでたまらない」


春麗はそんなことを言われて

「雅様から・・・もう離れられません」


雅は

「私も春麗を離さない」

そして固く抱きしめるのです。


いつの間にか、お屋敷のご主人も、お仕えする女の子たちも、二人の様子をただ見守るだけになりました。


ご主人

「雅君と春麗が手を取り合っている姿を見るだけで、仙界にいるような幸せを感じる」


女の子たちも

「最初は、春麗がうらやましかったけれど、私たちは春麗ほどにはお世話ができそうにない、それよりも二人の姿を見るだけでも、本当に幸せになる」

「二人を切り離したら、二人ともどうなるのかわからない」

「そのほうが、私たちには辛いことになる」


そんな話になり、とうとう雅と春麗は、一つのベッドで眠ることになりました。


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