第272話晶子と出張(3)

「これじゃあ、恋人同士だ」

ひざ掛けを「共同使用」し、晶子の頭は俺の肩の上だ。

少し恥ずかしいけれど、起こして

「しっかり座れ」も無粋だ。

「これは仕事なんだ、ケジメは必要、公私混同はよくない」

でも

「何で公私混同?」とも思う。

そもそも、先輩と後輩の間柄だ。

特に晶子と「愛を誓いあった」なんてことは、サラサラない。

食事にも飲みに行ったこともない。

だから、「公私そのもの」がないのである。

「でも・・・となると、この状況は何だ?」


「うーん・・・」よくわからないので、うなっていると晶子がポツリポツリ。


「晃さん、やさしいから」

「仕事でヘマした時も」

「すっと直してくれてかばってくれて」

「それが何度も」


「でね・・・」


「うん」


晶子が何を言いたいのか、よくわからない。

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