第270話晶子と出張(1)

新製品の市場調査のため、新幹線を使い、地方へ木金で一泊出張することになった。

心強いどうかわからないけれど、超明るい部下で話し好きの晶子が一緒。

出張前に上司に「何故晶子と?」と聞いたけれど、「晶子さんのご実家も近くてね」ということ。

実家が近いくらいで同行されるのも面倒だけど、上司の指示となれば致し方ない。


晶子に一緒に行く旨を「一応」伝えると、さっそく

「はい!晃さん!」

「楽しみです、実家も近いですし、市場調査はまかせてください!」

「晃さんは、私を監督していてくれるだけで十分です!」

「わーーー!楽しみ!何を食べるかなあ!」

「ついでにお友達にも会っちゃおう!」

「父さんと母さんにも会えるかなあ」

・・・・・・

まあ、この話の長いこと・・・


「おいおい、旅行じゃない」と言いたいけれど、晶子は笑うとなかなか可愛い。

それに、下手に注意をして、しんみりした顔で故郷の市場調査をさせるのも難があると思うので、なかなか言い出せない。

少し黙っていると、


晶子はまたニンマリ

「ねえ、晃さん、お昼と夜のお店は、私にまかせてください!」

「何より地元ですから!」


「はぁ・・・うん・・・」

と頷いたものの、ハッと気がついた。


「夜って?」

聞き直そうとしたら、晶子は誰かと電話を始めている。

また、この電話が長いこと・・・

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