第267話玄敏僧都の話(3)鴨長明発心集

さて、今までの話はかなりな話題となったので「物語集」にも載っていますというので、こうして書きつけたのです。


また、玄敏僧都と言われる歌は古今集にも入っています。


山田守る

    僧都の身こそ

          あはれなれ

               秋はてぬれば

                     門ふ人もなし


山の田を守る僧都の身ほど哀しいものはない。

僧都も僧都、案山子も案山子、秋が終われば(飽きられれば)訪ねてくる人もいない。

雲や風のように、諸国をさまよって歩いたのでしょうね。

稲田の番人をしていた時も、おそらくあるのでしょう。



さて、伊賀の国のある郡司の所に、風采の上がらない法師がフラフラと入ってきました。

そして「私を使ってはくれませんか」と言うのですが

郡司としても、その法師の様子がどうも不安に思います。

「あなたのような坊主をおいても、何もならないなあ、全く使いみちがないんだ」と断るのですが、法師は粘ります。

「私は法師ではありますが、普通の男と変わりません、どんな仕事も出来ることでなるならば、やりますよ」と言うので

郡司も根負けです。

「まあ、そういうことなら、雇うよ」ということで、屋敷の中に置くことにしたのです。

法師は、本当に喜んで懸命に働くので、郡司は感心してしまい、とうとう特別に大切にしていた馬までを預けて、世話をさせるのです。

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