第264話いきなり押しかける美佳
かなり暑い日になった。
こういう日は、外に出るのはおっくうだ。
そんなことをするより、エアコンをガッチリと効かせて音楽でも聴こうかなあと思っていた時に、突然スマホが光った。
「スマホが光る?誰?」
そう思ってスマホを手に取ると、美佳だった。
世間一般では恋人、親同士では「ほぼ許嫁」と思われている。
ただ、俺自身としては、けっこう引いている。
何しろ、美佳は何でも強引でアチコチ引きずり回すし、ちょっと俺が他の女と話をしようものなら、もう泣いて拗ねてどうにもならない。
そんな状態だから
「う・・・美佳?」
と思ったけれど、電話には出ることにした。
何しろ、出ないと泣くし怒るし。
その美佳は、いきなりとんでもないことを言ってきた。
「晃さん!近くに来たけれど、寄ってもいい?」
「え?マジ?今から?」
美佳
「あったりまえじゃない!この酷暑で!」
「で・・・どこ?迎えに行くけれど」
美佳
「だから、近くっていったでしょ!」
「アイスも買ってきたから!」
「ほら、さっさと開けて!」
そのままチャイムを押してくる。
・・・だったら、そのままチャイムでいいのにと思うけれど。
ドアを開けると、ニンマリ顔の美佳。
「ねえ、私ってやさしいでしょ?」
「どうせね、晃さんだから、ビールでも飲んで音楽聴くだけって思ったから」
「え・・・そんなことないよ」
「まだちゃんと決めてないだけ」
俺だって、いつまでも美佳に察知されるのは、コケンに関わる。
しかし、美佳は俺のコケンなど、何も気にしない。
「もう!邪魔!」
家主の俺を押しのけて、どんどん中に入って大騒ぎ。
「ねーーー!ちゃんと掃除してよ!」
「洗濯機回すよ!何時だと思ってる?」
「あとで、シャワー借りるよ!お風呂でもいいなあ!」
「あ・・・冷蔵庫にビールだあ!」
「アイスしまうね!」
そこまではよかった。
「もーーーー!何?この本!」
「私より貧弱!」
「あーーー気に入らない!」
「晃さんのビール飲んじゃう!」
「あーーー気に入らない!私のほうが立派だって!」
「谷間だってさ!」
・・・・書ききれないほどの文句が続く。(単なる週刊誌なのに)
結局、酒に弱い美佳はビールを飲んだら、すぐにコロンと眠ってしまった。
「美佳は、何をしに来たんだろう?」
俺は、呆れて見ているしかなかった。
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