第263話惜別
海をずっと見ていた。
風が吹き、白い波を立てている。
まるで 花びらが 水の上で 咲き誇るように。
空は青空 雲など どこにも見えない。
その青空に 南に向かう飛行機が見える。
あの飛行機なのか。
もう 二度と逢えない人が乗るのは。
好きだった。
自分の不甲斐なさに涙する。
どうして 「さよなら」を言ったのだろう。
海と空の青さが つらい
風よ せめて 白い花を 見せてあげてくれ。
惜別として。
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