第235話不思議な光君(1)

光君は、どうも不思議だ。

それは勉強の成績がトップクラスとか、運動もそれなりにかっこいい(とても懸命にやっているとは思えないけれど)・・・そんなことより、光君の持つ雰囲気が不思議なんだ。

決しエラそうなことは言わない、だけど、人がいつの間にか集まっている。

まあ、お顔は、可愛い。

目は大きいし、小顔だし、お肌もメチャ白いし。

少し困るのは、しっとり系の美肌だ(ちょっと負けそう)。

そばに来られると、もう大変、ドキドキしちゃって。

かといって、声をかけてもらえるわけじゃない。

ふんわりとしているだけだけれど、恥ずかしいけれど、うれしい。


「それでさ」

悪友女子連中とは時々光君の話題になる。


「ねえ、光君、いいよね」

「うん、ふんわり系で、男からも女からも敵がない」

「でもさ、男はともかくさ、女は狙っている子が多いよ」

「部活は、文学部か・・・」

「いいなあ、文学部の女ども」

「だったら、入ればいいじゃない」

「やだ、見つめられたら恥ずかしいもの」

「そうだよね、私たち本も読まないしさ」

「変なことを言って、嫌われてもさあ」

・・・・・だいたいそんな程度の話である。


でも、私は(他の悪友なんかに教えないけれど)、私だけが何となく気づいていることがある。

「ふふん・・・もしかすると・・・突破口になるな」

「うまく行けば、光君とデートできる」


そんなことで、私としては、まあ慎重に「突破口となる話しかけ」の機会を狙うのである。

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