第225話怒鳴り散らす女房ロッサーナ(1)
今日もロッサーナは、いつもにも増して機嫌が悪い。
「おい!お前さん!どうして我が家は、こんなに貧乏なんだい!」
「家だって狭いし、古い!」
「お前さんには女房に愛情ってものがあるのかい!」
「お隣のジュリオさんを見てごらんよ!」
「立派なお役所のお勤め!」
「お屋敷も広くて綺麗」
「車?ああ、あんたみたいな国産の安物じゃないの!」
「外車だよ!それも新車を三年おきに買い替え」
「あ~~~~惨めったらしい!」
「お前さんの顔も声も見るのが嫌だ!」
「いいかい!今の今から、私はこの家で何も家事はしないよ」
「お前さんが、炊事洗濯掃除全部やるんだよ!」
「ちょっとでも手抜きしたら私は何をするかわからないよ!」
・・・・・
ロッサーナの文句は延々と続く。
ロッサーナには何も言い返さない亭主マルコは確かに手取りも少ない板金工。
仕事そのものは真面目一方、手堅いだけが取り柄の男。
また性格も仕事と同じ、真面目一方で、とにかく優しい。
「うん、わかった、ロッサーナ」
「僕の手取りが少なくてごめんなさい」
「君の言うとおりさ、君に不自由や恥ずかしい思いをさせて申し訳ない」
「これからは、僕が家の中の仕事も全部やるから」
結局、マルコは朝から晩まで、懸命に働くことになった。
一方、ロッサーナは、それをいいことに、マルコが稼いできた金は、もともと少ないから湯水とは言わないものの、ほとんど月の半分で使い切ってしまう。
そうなると、どうしてもお金が足りなくなるのだから、またマルコに怒鳴り散らすことなる。
「ああ!甲斐性のカケラも無い男だねえ!」
「もう近くに来ないで!油臭い!」
「あんたなんか、車庫で寝てよ!」
「家に帰って家事したら、また働きに出なさいよ!」
「いい!亭主だったら、女房に苦労をさせてはいけないの!」
「ほら!何を疲れた顔してるの!」
「このバカ亭主!さっさと働きに行け!」
ここでも、マルコは何も言い返せない。
連日の長時間労働で、かなり疲れてきているけれど、家にはいられそうにない。
そして、夜の仕事を見つけ、また働くことになった。
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