第220話上品な春香さん(2)

こんな上品な年上の、しかも憧れの人を前に、「食べたいもの」なんて簡単には言えない。

俺は、そういう面では、全くガキだ。

自分でも、情けないほど、憧れの人の前では気が弱い。


「じゃあね、和食でいい?」

「少し珍しいかなあ」

春香さんが、そう言って、連れて行ってくれたお店は、珍しい「湯葉丼」を出すお店。


「へえ、美味しい、餡掛けですね、生姜がきいている」


「うん、美味しい?」

春香さんの、笑顔も上品、味も上品。


「勉強の面倒を見てもらって、こんな上品な食事までご馳走になって」

まあ、これは本音をそのまま言ってしまう。

「しかし、どうして、こんなに良くしてくれるんですか?」

本音の次には疑問が発生。

やはり、正直に聞くことにする。


春香さんは、また上品に笑った。

「えーっとね・・・それはね・・・」


その笑顔に俺の目は、吸い寄せられてしまう。


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