第190話亜希子の「お相手」(3)

そんな亜希子は、両親とともに、政財界の大物たちが集まるパーティーに出席することになった。

亜希子としては、「お相手」を見つけることのできる格好のチャンスである。

豪華絢爛の衣裳と目一杯派手なお化粧をして、超高級ホテルのパーティー会場に入った。


「ふむ・・・中には若い男もいるなあ」

「あれはIT関係?女どもが群がっているけれど、あの茶髪が気に入らない」

「へえ、参議院か、解散がないから6年は安泰、でも政治家の妻は支持者にペコペコしないと、それは嫌だ」

「あれは旧華族かあ・・・家柄はもちろん財産もすごいけれど・・・でもシキタリとか面倒そうだ」

・・・・・

結局、文句ばかりで、「お相手」はなかなか見つからない。


そんな状態が続いていた、亜希子に、シャンパンを差し出してきた若い男がいた。

ただ、若い男といっても、ホテルのボーイの姿をしている。

「亜希子様ですね、ドン・ペリでございます」

すごく丁寧な口調である。


「ああ、ありがとう」

亜希子は、「お相手探し」の目を休め、シャンパンと若いボーイを見る。

しかし、ただ見るだけ、亜希子にとってホテルのボーイなど「下郎」に過ぎない・・・はずであった。


しかし、そこで異変が発生した。

「うわ!この男の子、可愛い!」

「すっごい美形!」

「あらら・・・どうしよう・・・」

珍しくも、亜希子は赤面してしまったのである。


そして亜希子は、その若い男が目の前からいなくなっても、どうしてもその姿を追ってしまう。

「うーーーー」

「欲しい、お相手じゃなくてもいい」

「つまみ食いでもなんでもいい」

「あの子が欲しい!」

欲しいとなれば、心を抑えられない亜希子である。

その目には、既に激情が宿りつつある。




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