第176話悪夢(3)

「あーーーー!!祥子ったら・・あやしいなんてもんじゃない!!」

「どうして二人で仲良く歩いているのよ!!」

駅の階段を、降りてくる。

誰であるか、すぐにわかった。

「写真の持ち主」・・・由美さんである。


「偶然なのよ・・・それがねえ・・・残念だけど・・・」祥子


「そう言いながらニヤニヤしてるし・・・まったく!油断も隙もあったもんじゃない!」

「おまけにワインまで持たせてるし・・・」由美


「いや、これは自主的に・・・お持ちしましょうって・・・ねえ?」祥子


そんなこと言われても、違うなんて言えやしないし。

ほとんど二人で言い合っているというか、じゃれあっている。

なんとか、隙を見つけて 「オイトマ」しなければと思うが、切り出せない。


うまい具合に、駅のアナウンスが聞こえてきた。

チャンスである。


「あの・・・」

会釈をして、ワインを渡そうとする。


「え?」由美


「あなた、何勘違いしているの?」祥子


「え?・・・まだ、何か?」


「このワイン、由美ちゃんのお店に届けるの・・・」祥子


「お店って?」


「うん、3年前から、イタリアンのお店はじめてます」

「今日は、お休みだから、祥子とワイン飲む約束なの」由美


「へえ・・・」

それで、2本の意味を理解した。


「で・・・」祥子

悪戯っぽい笑顔である。


「これで、帰りの心配は無しと・・・」祥子


「え?」


「うん、最近、祥子って酒乱かも・・・」

「だからあなた責任とって」

由美は、クスクスと笑っている。


「責任って・・・」


祥子が手をあげると、タクシーが止まった。

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