第175話悪夢(2)

「そんなに 笑わなくても・・・」

少し呆れてしまう。

しかし、この笑いにつきあっていては、当初の目的を果たせない。

とりあえず、棚のロゼを適当に選んだ。


店主に会釈して彼女と一緒に店を出る。


「へえ・・・頑固な赤ワイン一辺倒の君がロゼねえ・・・」


「そんな頑固ってほどではないです」


「うん、君のロゼ飲んでいる顔って、想像がつかないしさ・・・」

全く聞く耳を持たない彼女である。


「ところでさ・・・」

次の言葉が出る前に、わかってしまった。

彼女の買ったワインを持つことになる。


「うんうん・・物わかりの良い・・ほめてあげる。」

「何しろ、2本は重たいし・・・」


「どうして・・・2本買ったんですか?」


「まあ・・・そこまでは、物わかりがよくはないね・・」

再び、含みのある笑いである。


「変なたくらみしてませんか?」


「何よ、やさしい先輩に向かって・・・」

「ほら・・・もうすぐ駅だけど・・・」


「そんなの見ればわかります」


「最後まで聞きなさい・・・駅でね・・・」

彼女の言葉は、結局最後までは聞くことが出来なかった。

駅を見た瞬間、頭を抱えてしまった。

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