第175話悪夢(2)
「そんなに 笑わなくても・・・」
少し呆れてしまう。
しかし、この笑いにつきあっていては、当初の目的を果たせない。
とりあえず、棚のロゼを適当に選んだ。
店主に会釈して彼女と一緒に店を出る。
「へえ・・・頑固な赤ワイン一辺倒の君がロゼねえ・・・」
「そんな頑固ってほどではないです」
「うん、君のロゼ飲んでいる顔って、想像がつかないしさ・・・」
全く聞く耳を持たない彼女である。
「ところでさ・・・」
次の言葉が出る前に、わかってしまった。
彼女の買ったワインを持つことになる。
「うんうん・・物わかりの良い・・ほめてあげる。」
「何しろ、2本は重たいし・・・」
「どうして・・・2本買ったんですか?」
「まあ・・・そこまでは、物わかりがよくはないね・・」
再び、含みのある笑いである。
「変なたくらみしてませんか?」
「何よ、やさしい先輩に向かって・・・」
「ほら・・・もうすぐ駅だけど・・・」
「そんなの見ればわかります」
「最後まで聞きなさい・・・駅でね・・・」
彼女の言葉は、結局最後までは聞くことが出来なかった。
駅を見た瞬間、頭を抱えてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます