第140話桜の精

満開の桜をずっと見ていた。


少し 肌寒い。


そういえば さっきまで暖かかったので


薄着で来てしまった。


風邪でもひいたら大変だ。


帰ろうとしたら


「ちょっと待っててごらん」


見回しても 誰もいない。


首を傾げていたら


「寒いでしょ」

「甘酒持ってきた」


満開の桜の下で、二人で甘酒を飲んだ。



あの不思議な声は、きっと桜の精。


甘酒の上に 桜の花びらが浮かんでいる。


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