第139話初めてのアパート暮らし(4)(完)

祥子は実は、焦っていた。

「彩がどうしても晃を見たいっていうから、一緒したけど」

「ものすごいアタックだった、水着も派手だし」

「途中からピッタリ寄り添いしようとするし」

「晃君が、引いているから、何とかガマンできたけど・・・」

「これってジェラシー?」

「うーーーでも、よくわからないけれど、晃君を他の女に渡したくないよ」


一方、晃も、実際どうしたらいいのかわからなかった。

「そんな、女の子と付き合ったこともないし」

「何をどうやって話をしていいのか、わからない」

「いろいろ話しかけて来るから、応えているだけ」

「メチャクチャに疲れた」


晃は思い切って祥子に聞いてみた。

「どうして、恋人を紹介するなんてことしたんですか?」

「祥子さんの考えがさっぱりわからない」

聞き方も、スムーズではない。

でも、疑問をそのまま伝えた。


祥子はたじろいだ。

何しろ晃が真顔だったから。

「・・・あのね、アパートに入った日から、ほとんど一緒にいろいろ付き合ってもらってね」

「私は、それでも、かまわないけどね」

「晃君だって、私の付き添いばかりじゃ、悪いかなあと思って」

「今のままじゃ、晃君、彼女を作る暇もないでしょ」

祥子も応えながら、本音ではないし、顔が真っ赤になった。


晃は、本当に困った顔になった。

「どうして、そんな発想になるのかなあ」

「祥子さんといつも一緒で楽しいのに」

「ずっと、祥子さんを見ていたいし」


祥子も困ってしまった。

「それは晃君と一緒にいると楽しいし」

「でも、私は二つも上だよ」

「いいの?年増で」

ちょっと混乱気味の応えをしてしまった。


「祥子さん」

歩いていた晃が突然立ち止まった。

そして真正面に立った。


「え・・・どうしたの?」

祥子は、予感した。

晃の顔が紅くなっている。



「これが僕の気持ちです」

いきなりグッと抱きしめられてしまった。

しかも、大勢の人の前で。


「わ・・・うれしい・・・ありがとう」

祥子も、ここで心を決めてしまった。

「晃君、続きは・・・」


続きは、祥子の部屋になった。


その後は・・・ご自由に。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る