第130話VSお局様(2)
女子社員から泣きつかれた後、一週間程冷却期間というか、観察期間を置いた。
何しろ人事部が各部署を歩くだけで、何かと話題になる。
やれ人事考課だとか人事異動の準備とか、下手に動いて感づかれ、逆にお局様と泣きついて来た女子社員たちとの人間関係を悪化させても、それは困ることになる。
一週間後、別件の用事を作り、問題の支店に出向いた。
厚労省関係のポスターを配って歩くだけという簡単な用事。
その際に、お局様の仕事ぶりを観察した。
お局様には内緒で支店長にも、それとなくお局様の仕事ぶりや支店内での人間関係を聞いて見た。
「うーん・・・とにかく我が強い」
「事務しかしない、お客様が来店しても、顔を上にあげない」
「だから気づかず、いらっしゃいませもしない」
「一度注意したんだけど、私は忙しいんですって、大声で逆切れされてさ」
「それも、来店客でごった返している時だよ、まいっちゃったよ」
「事務は、丁寧だけど・・・お客様の記入ミスとか、強い口調で責めるものだから・・・お客様からの評判も悪い、でも逆切れするから注意しづらい」
「最近は事務システムも変わってミスも多いかなあ、自分でやったとは、認めないけれど・・・」
「彼女は、結局若い女の子がしっかり教えないってことで言いきっちゃうんだよ」
どうやら支店長も相当困っているらしい。
確かに人事部としては、接客が出来ず、事務に不安があり、自らのミスを責任転嫁する社員は、評価は下げるしかない。
それでも、これで評価を決めるのは、あまりにも一方的だと思った。
しばらく、支店長と雑談をしながら、お局様の仕事ぶりを再び観察していた。
確かに、お局様の顔は下を向き、書類のチェックは懸命に行っている。
しかし、来店客に挨拶は何もしない。
窓口が混雑していても、何ら対応はない。
支店長も仕方なく、店頭で接客を始めている。
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