第129話VSお局様(1)

入社2年目の今日子が泣きついて来た。

「あの・・・お局様、意地悪なんてもんじゃない」

「お客様に明るい声でいらっしゃいませって言ったのに」

「後で、寄って来て声がうるさい、品がないだって」


入社3年目の香織は怒っていた。

「午後4時半になって、急に細かい書類点検はじめて」

「5時になって帰ろうとしたら、ギロッて睨むの」

「睨んできたうえに、暇でいいねえ、こっちは忙しくてしょうがないって嫌み」

「そもそも、あのお局様がどうしても自分でやるっていったから、はい、どうぞなのにね」

「お手伝いしましょうかっていったら、ものすごい権幕で、私の仕事取らないでって、だったら最初から言わなければいいのに」


入社5年目、今年からパートになった涼香は涙顔である。

「幼稚園の行事もあるし、役員だから早く帰ろうとすると、もの凄い態度するんです」

「書類を急に持ってきて、10分でやってちょうだいとか、帰る間際ですよ!」

「勝手に帰られると迷惑なの!もうつらくて・・・」


3人とも、お局様の「ゴキゲン伺い」には、本当に苦労しているようである。


「そうですか・・・あまり、ひどいようでしたら、彼女の言い分も聞かないとね」

「彼女の仕事そのものは、どうなの?」

一応、人事担当役席として対処することにした。


「えっと、お局様の仕事そのものは、正確・・・ですが・・・」今日子

「遅くて・・・丁寧過ぎて」香織

「丁寧と言うより、頑固って言うのか、要領が悪い」涼香

「自分の仕事に熱中すると、お客様に挨拶もしない」今日子

「古い事務は覚えているけれど、新しい事務は難しいみたい」香織

「こっちに聞いてくるけれど、高飛車で、ワカリが遅い」涼香


「そうなると、お局様がいたほうが仕事が捗るのか、どうかなんだけど」


その問いかけには全員一致

「かえって新人さんのほうが、捗ります、仕事の上でも精神的にも」

「でも、相談がバレルと面倒だから、上手にお願いします」


「そうなると、対処を検討します」

早速、対応をすることにした。

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