第112話仕事大好き女(2)

さて、たか子が「連絡なしで無断欠勤」となった社内では、様々な話が飛び交っている。


「だいたい、風邪でダウンでしょ?」

「それにしても、無断欠勤だし、スマホは通じないし」

「事件にでも巻き込まれたのかなあ」

「別に同情もしないな、何しろ私たちへのものの言い方がひどかったしさ」

「誰があいつの仕事のカバーするの?私嫌だよ」

「そうだね、後で出て来て、また文句言われるから、やらない」

「やってあげても文句言われるんだから、やらないよね」

「文句も指導だったらいいんだけど、書類叩きつけて怒るだけなんだもの」

「じゃあ、どうしたらいいですかって聞いても、自分で考えろ!そんなこともわからないのってさ」


そんな状態で、誰もたか子には連絡をできない、仕事のカバーもしない。


それでも、たか子の上司は、何とか連絡を取ろうと思った。

たか子に任せてある仕事も大事な仕事である。

まず、たか子の登録住所を調べ、一番近くに住む女性社員に声をかけた。

しかし、断られた。

「急に言われても困ります、予定があるので」

その他数人の女性社員にも同じ理由で断られた。


「俺も、今日は接待の仕事があるからなあ・・・」

上司が少し困っていると、新入社員の晃が手をあげた。


「僕が行きますよ、どうせ怒られると思うけど、怒られ慣れしているから平気です」

「家も隣の駅ですから」


上司も、他の女性社員も全く異存はなかった。

たか子のところには、晃が行くことになった。


「まあ、どうなることやら」

「風邪移されないでよ、しっかりマスクしてね」

「事件の場合は、即、警察に」

「甘い言葉とかお世話はダメだよ、あくまでもビジネスの話だけにしてね」

「そうしないと、またメチャクチャに怒られるよ」


上司はともかく、女性先輩社員たちは、熱心に世話を焼く。



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