第106話ルチアとジャン(難破)
空一面、恐ろしいほどの黒雲。
凄まじくなるばかりの風。
ナポリから積んできた品も全て捨てた。
あっという間に悪魔のような高い波が船の全部を飲み込んだ。
「ルチア!」
ジャンは思いっきり叫んだ。
もうこの状態になったら船長に声などはかけない。
ルチアの顔をもう一度見ることなど、とうにあきらめている。
せめて、ルチアの名を呼び続け、海に沈みたかった。
命の最後に、どうしても「ルチア」に声をかけたかったのである。
そして船は波の中で大破、ジャンの身体は海中をあてもなくさまようことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます